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女性におすすめのがん保険の選び方

女性におすすめのがん保険の選び方

 日本人の乳がん罹患数は1995年から2017年の20年で31,174例から104,379例(女性103,675、男性704)へと約3倍に増えており、2017年の女性のがん罹患数では1位*¹です。日本人女性が生涯で乳がんに罹患する確率は、9人に1人という計算*²になります。
 一般的にがんの治療にはお金がかかりますが、乳がん治療も例外ではありません。保険への加入は将来の高額な治療費への備えのための選択肢のひとつですが、女性にとっても十分な保証があり実際に保険金が支払われる商品なのかどうかという点には、注意して加入したいところです。医療は日々進歩しており、乳がんの治療法も進化しています。将来を予測することは不可能ですが、乳がんの特徴を踏まえて必要な保証内容を知っておくことは、効率的に商品を比較検討するのに役立つことでしょう。乳がん治療中のファイナンシャルプランナーの目線からご紹介します。

ソフィア | ファイナンシャルプランナー
自身の乳がん治療の経験とお金の専門家としての視点から、乳がん治療で役立つお金の情報のコンテンツの発信や、乳がん経験者のコミュニティーの運営を行っています。

Photo by S. Hermann F. Richter on Pixabay

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乳がん罹患リスクの高さから保険を選ぶ

 乳がんの発生要因としては、生活習慣、環境要因、遺伝要因があります。日本乳癌学会『乳癌診療ガイドライン』では、肥満、飲酒、喫煙、受動喫煙は乳がんの発生要因として確実としています。初潮年齢が低い、閉経年齢が高い、出産・授乳経験がないなども発症リスクとなり得ると考えられています。また、全体の5~10%は遺伝要因の乳がんと言われています。乳がんや子宮がん、卵巣がんの罹患歴のある家族や親族が多いなどの場合は、病院で遺伝子カウンセリングを受けてあらかじめリスクを知っておくという選択肢もあります。自身のリスクに応じてがん保険を検討してみるのもひとつの方法です。

部位別がん罹患数

乳がん治療の特徴から保険を選ぶ

 現在乳がんの三大治療である手術・薬物療法・放射線治療では、手術以外の治療は現在は通院で行うことが多くなっており、平均入院日数は11.5日*³です。

 幅広い病気やケガによる入院や手術の保証が主な従来型の医療保険はメリットが薄れてきていると言われていますが、特約の付加で通院治療費に対する保証を厚くすることができるタイプや三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)の治療時に一時金が受けとれるタイプの商品もあります。

 がん保険は保証対象ががんの治療費に特化していて、がんの確定診断を受けた時点で50~300万円程度が支払われる診断給付金や入院給付金・通院給付金が1日単位で支払われるのを主契約に、手術・放射線治療・ホルモン治療・抗がん剤治療を受けたら治療給付金が支払われるなどの特約を個人のニーズに応じて付加するタイプのものが現在主流になってきています。特約は女性のがんに特化した特約や上皮内新生物診断特約など細かく設定されている商品もあり、進行の仕方に多様性のある乳がんにも備えることができます。

年齢別乳がん罹患率から保険を選ぶ

 近年の女性の乳がん罹患率には、30代後半から40代半ばにかけて増え始めて70代半ばから減少するという特徴がみられ、この傾向は乳がん罹患数が急激に増えてきた1995年頃から顕著になってきています。また、高齢での罹患数が多い他のがんに比べて乳がんは比較的若い時点で罹患する人が多いがんであるといえます。

 がんに備えた保険として検討対象となる医療保険とがん保険には終身型と定期型があります。定期保険は保険期間が定められていますが、終身保険は解約しない限り終身(一生涯)になります。

 終身保険は定期保険のような更新はなく、保険料は一定です。一般的に終身保険の保険料は定期保険に対して高めになっています。年齢が低いほど保険料は安くなりますが、終身払いの場合はそれだけ保険料払込期間が長くなることになります。保険料払込期間は、終身保険は「10年払済」「60歳払済」などのように指定することができます。終身払いに比べて1回に支払う保険料が高くなるわけですが、期間を限定して保険料の払込負担を終わらせておくことができるという考え方もあります。罹患リスクの高い時期までに支払う保険料と保証内容をそれぞれ比較して計画的に保険を利用するのもひとつの方法かもしれません。

年齢階級別推定罹患率(乳がん)
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いざというときに保険金が支払われない!の落とし穴を避けるために

 保険には「支払事由」が設定されており、保険金が支払われるにはその条件を満たしている必要があります。つまり、せっかく医療保険やがん保険に加入して将来の罹患リスクに備えていても、不運なことに実際に罹患したときの状態が支払事由を満たしていなければ保険金が支払われないということが起こり得るわけです。

 支払事由には「所定の治療」や「治療を直接の目的とする」などの表現が使用されていることがありますが、乳がんに対する医療行為のなかにも厳密には治療目的で行われる行為と再発防止目的で行われる行為とその他があります。「再発予防を目的とした治療を含む」など明確な文言が使用されていれば分かりやすいのですが、そうではない場合は実際にどの範囲で支払われるのか注意が必要な場合があります。

 例えば、乳腺のがんを切除する手術と乳腺を全摘出した場合に乳房を再建する手術では、乳腺の切除は治療目的の手術ですが、再建手術は直接的ながんの治療が目的ではありません。そのため日本では再建手術は長年の間、保険診療ではなく自由診療で行われていたという歴史があります。また、遺伝性の乳がん患者のリスクを下げるための予防的切除は、2020年4月までは保険適用ではありませんでした*⁴。

 「治療を直接の目的とする」という文言を支払事由として使用している商品について再発や予防目的の医療行為で保険金を支払うかどうか、いくつかの保険会社に直接問い合わせてみましたが、乳がん治療の理解度や治療法の進化への対応にはばらつきがあるようです。どの保険会社でも「保険金の支払いは医師による診断書をもとに個別に判断をした上で行う」ことが前提なのは一緒ですが、「がんの診断確定後に行われた再発予防目的の医療行為については治療の一環とみなして保険金を支払った実績はあるが、乳房の予防的切除については過去に例がない」と回答をした保険会社もありました。支払条件にどの範囲の医療行為まで含んでいるのか、加入する前に確認しておくと安心でしょう。

 それから、乳がん治療中のファイナンシャルプランナーの目線として気になるところは、診断一時金の設定のある商品のその支払い時期です。再発時にも診断一時金が支払われる商品のなかには、1回目の治療完了後2年経過していることを支払の条件にしているものがあります。乳がんが再発してしまう場合については、日本乳癌学会のガイドラインでは「手術後2,3年もしくは5年前後くらいに起こることが多いのですが,10年後や20年後に現れることもあります。再発の時期は,病気の進行度や乳がんの性質によって大きく異なります」*⁵としています。2年未満に再発することもありますから、2度目の診断一時金は支払われないケースもあり得るわけです。また、診断一時金の支払は一度のみで、再発時には支払われないものもあります。再発時の支払い条件についてもチェックしておくとよいでしょう。

 今回は将来の高額な乳がんの治療費への備えの選択肢のひとつとして保険商品を選ぶ場合についてご紹介しましたが、病気の治療費に備える方法はひとつではありません。その他の方法も知って、自身にあった方法を見極めましょう。


*¹ 厚生労働省「全国がん登録 罹患数・率」より
*² 国立がん研究センター『最新がん統計』より
*³ e-Stat 政府統計の総合窓口より
*⁴ 現在は再建手術は保険診療で受けることができます。2020年4月から代表的な遺伝性乳がんである遺伝性乳癌卵巣癌症候群の『遺伝性乳癌卵巣癌症候群患者に対する乳房切除術』が保険適用となり、すでに乳がんを発症している患者の遺伝性の乳がんの遺伝子検査、予防的切除とそれに伴う乳房再建も保険で行えるようになりました。
*⁵ 乳がんの再発・転移について(日本乳癌学会ガイドライン)

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